第69回 臨床検査技師国家試験 過去問解説AM(45~58)です。間違いや要望等ありましたらコメントしていただけると嬉しいです!
問題出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf
AM 45(病理検査学)

子宮頸部擦過細胞診の Papanicolaou 染色標本を別に示す。Bethesda システムによる判定はどれか。
- NILM
- LSIL
- HSIL
- Squamous cell carcinoma
- Adenocarcinoma
解答:3
細胞診のBethesda systemに関する問題です。
子宮頸部のBethesda systemによる分類を以下にまとめました。
| 判定 | 用語説明 | 特徴 |
|---|---|---|
| NILM | 陰性 | |
| LSIL | 軽度扁平上皮内病変 | 核クロマチン軽度濃染 コイロサイト(核周囲空洞化) |
| HSIL | 高度扁平上皮内病変 | 細胞質径に対する核径が8割以上(N/C比0.8以上) |
| SCC | 扁平上皮癌 | 角化型はオレンジG好性 オタマジャクシ細胞 |
| ASC-US | 意義不明な異型扁平上皮細胞 | |
| ASC-H | HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 |
今回の写真では、細胞質に対して核が大きい細胞が多数認められるため、HSILに相当します。
AM 46(病理検査学)
病理解剖の目的として正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- 人体の正常な構造を明らかにすること。
- 犯罪との関係が疑われる死体を調べること。
- 災害で亡くなった人の死因を明らかにすること。
- 生前に行われた治療の効果を明らかにすること。
- 病気で亡くなった人の死因を明らかにすること。
解答:4,5
死体解剖に関する問題です。
解剖には、系統解剖・病理解剖・司法解剖・行政解剖の4種類があります。
系統解剖:人体の正常な構造の解明
病理解剖:病気で亡くなった方の死因解明、病気の本態、治療効果究明
司法解剖:犯罪が疑われる死体について、刑事訴訟法に基づいて行われる
行政解剖:伝染病・中毒・災害で亡くなった場合の死因の解明
選択肢1は系統解剖、選択肢2は司法解剖、選択肢3は行政解剖にそれぞれ該当します。
AM 47(病理検査学)
(A)

(B)

H-E 染色標本(A)とパラフィンブロックの肉眼写真(B)を別に示す。H-E 染色標本にみられる問題の原因はどれか。
- ホルマリン固定不足
- パラフィン浸透不足
- 薄切の面出し不足
- 切片の伸展不足
- 染色時の切片剝離
解答:3
染色標本とパラフィンブロックの写真を用いた問題です。
Aの写真中央部が白く抜けているのが確認できます。脂肪組織ではこのようになることが多いですが、写真Bを見ると同じ部分がパラフィンで覆われていることが分かります。そのため、薄切の最初の工程である面出し(粗削り)不足が考えられます。
選択肢1のホルマリン固定不足や、選択肢2のパラフィン浸透不足では、写真Aでの切片が崩れると考えられます。
切片の伸展不足では写真Aの切片でシワが認められます。また、染色時の切片剝離では写真Aにおいて組織の一部が消失すると考えられます。
AM 48(病理検査学)

気管支の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
- Nile blue 染色
- Berlin blue 染色
- Alcian blue 染色
- Victoria blue 染色
- toluidine blue 染色
解答:3
染色法の写真問題です。
今回の選択肢に登場した染色法について軽くまとめます。また、ご要望ありましたらいずれ主要染色法一覧として投稿しようと思っています。
| 染色法 | 使用色素 | 染色目的 | 特徴 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| Nile blue 染色 | ナイル青 | 脂肪 | 中性脂肪と他の脂質の染め分けが可能 主成分(ナイル青)と副成分(ナイル赤)が存在 | 中性脂肪―淡赤色(ナイル赤) リン脂質―青色(ナイル青) |
| Berlin blue 染色 | フェロシアン化カリウム 塩酸 | 鉄 | Fe3+がフェロシアン化カリウムと結合することでベルリン青が形成される | 鉄―青色(ベルリン青) |
| Alcian blue 染色 | アルシアン青 | 酸性粘液 | Cryptococcusの検出に用いられる | 酸性粘液多糖類・酸性粘液・Cryptococcus莢膜―青色(アルシアン青) |
| Victoria blue 染色 | ビクトリア青 | 弾性線維 (HBs抗原) | 悪性腫瘍の脈管侵襲の評価に用いられる | 弾性線維―青色(ビクトリア青) |
| toluidine blue 染色 | トルイジン青 | 酸性粘液 | 酸性粘液は異染性を示す 肥満細胞の同定やアミロイドの染色に用いられる | 酸性粘液多糖類・酸性粘液・アミロイド・軟骨基質―赤紫色(トルイジン青) |
写真は気管支であり、写真左下に青く染まる気管支軟骨が確認できます。軟骨には酸性粘液多糖類の1つであるコンドロイチン硫酸が含まれています(聞いたことありますよね)。
そのため、今回は酸性粘液多糖類を青色に染めるAlcian blue染色が答えとなります。
ちなみに、気管支軟骨が赤紫色であればtoluidine blue染色です。
AM 49(病理検査学)
甲状腺濾胞細胞で産生されるのはどれか。
- カルシトニン
- パラトルモン
- ソマトスタチン
- サイログロブリン
- 甲状腺刺激ホルモン
解答:4
ホルモンなどの問題です。この問題は臨床化学の知識を活かせますね!
各選択肢について軽くまとめておきます。
| 名称 | 産生場所 | 作用 |
|---|---|---|
| カルシトニン | 傍濾胞細胞(C細胞) | Ca2+低下 |
| パラトルモン | 副甲状腺 | Ca2+上昇 |
| ソマトスタチン | 視床下部 膵臓ランゲルハンス島D細胞 | インスリン・グルカゴン産生抑制など |
| サイログロブリン | 甲状腺濾胞細胞 | |
| 甲状腺刺激ホルモン | 下垂体前葉 | 甲状腺ホルモン(T3・T4)合成促進 |
サイログロブリンが甲状腺刺激ホルモン(TSH)によりヨード化し、甲状腺ホルモンが生合成されます。ホルモンについては、臨床化学で詳しく解説します!
AM 50(病理検査学)
平滑筋で構成されるのはどれか。
- 心 筋
- 舌 筋
- 横隔膜
- 表情筋
- 子宮筋層
解答:5
解剖学の問題です。
筋肉は、平滑筋、骨格筋、心筋の3種類に分けられます。3つの特徴を下にまとめます。
| 種類 | 平滑筋/横紋筋 | 不随意筋/随意筋 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 平滑筋 | 平滑筋 | 不随意筋 | 胃や腸、膀胱、子宮筋層などの内臓壁や血管壁に見られる 自律神経により支配 核は1つで細胞中央に存在 |
| 骨格筋 | 横紋筋 | 随意筋 | 骨や皮膚に付着 核は多核で、全て細胞表面近くに存在 |
| 心筋 | 横紋筋 | 不随意筋 | 自動性収縮を行う 自律神経により支配 核は1~2個で、細胞間に介在板を認める |
選択肢1~4の心筋、舌筋、横隔膜、表情筋は全て横紋筋からなります。
AM 51(病理検査学)
血栓の誘因となりにくいのはどれか。
- 喫 煙
- 悪性腫瘍
- 心房細動
- 脂質異常症
- ビタミン K 欠乏
解答:5
血栓の問題です。
血栓症の危険因子にはたくさんありますが、主なものだけ押さえておけば大丈夫です。
心筋梗塞 がん 心房細動(Af) 脂質異常症 喫煙 妊娠後期 経口避妊薬
血液検査学でも触れますが、ビタミンKは特定の血液凝固因子産生に必要です。そのため、ビタミンK欠乏では血液凝固因子が産生できず、むしろ出血傾向をきたします。
AM 52(病理検査学)
我が国における肺の悪性腫瘍のうち最も頻度が高いのはどれか。
- 腺 癌
- 小細胞癌
- 大細胞癌
- 扁平上皮癌
- 悪性中皮腫
解答:1
肺の悪性腫瘍の問題です。
肺の悪性腫瘍で最も頻度が高いのは肺癌であり、4種類の組織型があります。
| 組織型 | 特徴 | 好発部位 | 頻度 | 予後 |
|---|---|---|---|---|
| 扁平上皮癌 | 角化、がん真珠を示す 喫煙が高リスク因子 | 肺門部 (気管支好発) | 30% | 比較的良い |
| 腺癌 | 管腔構造を持つ 粘液産生を認めることがある | 末梢部 | 38% | 不良 |
| 小細胞癌 | 小型の細胞が索状に増殖 喫煙が高リスク因子 | 肺門部 | 22% | 最も不良 |
| 大細胞癌 | 大型の細胞が増殖 | 末梢部 | 4% | 不良 |
肺癌は、日本での罹患数は第2位で、男性に好発します。また、死亡数は男女総数で第1位(♂:1位 ♀:2位)であることも押さえておきましょう。
AM 53(病理検査学)
遺伝子解析の際に推奨される脱灰液はどれか。
- 3 %塩酸水溶液
- 5 %硝酸水溶液
- 5 %トリクロロ酢酸水溶液
- エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉液
- プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉液
解答:4
脱灰液の問題です。
主な脱灰液に、塩酸、硝酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、プランク・リクロ液、EDTA液があります。
| 種類 | 性質 | 特徴 |
|---|---|---|
| 塩酸 | 酸性(無機酸) | 3~10%で使用 |
| 硝酸 | 酸性(無機酸) | 5~10%で使用 |
| ギ酸 | 酸性(有機酸) | 10%で使用 脱灰時間は無機酸より長いが染色性への影響は少ない |
| トリクロロ酢酸 | 酸性(有機酸) | 5%で使用 |
| プランク・リクロ液 | 酸性(無機酸+有機酸) | ギ酸+濃塩酸の混合液 組織膨化抑制のため塩化アルミニウムを含む 低温脱灰法(4℃)が推奨 |
| EDTA液 | 中性 | 脱灰速度が極めて遅いが、染色性に優れる |
また、さらに大事な項目として、脱灰後の処理が挙げられます。
無機酸(塩酸・硝酸)やプランク・リクロ液などの強酸を含む液で脱灰した場合、組織膨化防止のために5%硫酸ナトリウム(または5%硫酸リチウム、5%ミョウバン)に12~24時間浸漬(中和)し、水洗します。その後70%エタノールに浸して完全に脱灰液を除きます。
しかし、有機酸(ギ酸・トリクロロ酢酸)などの弱酸で脱灰した場合、中和せず直接70%エタノールへ入れます。もちろん、中性溶液であるEDTA液を用いた際も中和は必要ありません。
EDTAは、中性溶液として使用するため組織傷害が少ないです。そのため、免疫組織化学染色や遺伝子解析の際に用いられます。
AM 54(病理検査学)
細胞診検査材料のうち、最も低速遠心で集細胞法を行うのはどれか。
- 尿
- 胸 水
- 膵 液
- 髄 液
- 胆 汁
解答:4
細胞診の検体処理に関する問題です。
脳脊髄液(髄液)は細胞が壊れやすいため、低速遠心(700~1000回転、5~10分)を行います。その他の検体は2000~3000回転、3~5分で遠心します。
AM 55(病理検査学)
急性炎症で特徴的にみられる現象はどれか。 2 つ選べ。
- 好中球浸潤
- リンパ球浸潤
- 血漿成分の滲出
- 組織構築の改変
- 線維芽細胞の増殖
解答:1,3
炎症に関する問題です。
炎症は、大きく急性炎症と慢性炎症に分かれ、前者は好中球主体、後者はリンパ球主体と考えて大丈夫です。
急性炎症:血管透過性亢進による傷害部位への血漿滲出や好中球浸潤が特徴的
慢性炎症:マクロファージやリンパ球の浸潤、線維芽細胞の増殖、小血管増生を伴う組織細胞増殖、組織構築の改変が特徴的
急性炎症では異物処理が主目的なのに対して、慢性炎症では組織修復や再生も行われます。
AM 56(病理検査学)
静脈血が流れているのはどれか。 2 つ選べ。
- 大動脈
- 肺動脈
- 臍帯動脈
- 気管支動脈
- 総腸骨動脈
解答:2,3
解剖学の問題です。
静脈血が流れている動脈は、肺動脈と臍帯動脈だけです!逆に、動脈血が流れている静脈は肺静脈と臍帯静脈です。
動脈・静脈に関連した問題はよく出るので、必ず押さえておきましょう!
AM 57(病理検査学)
H-E 染色のエオジン液に加えるのはどれか。
- 塩 酸
- 酢 酸
- 硫 酸
- アンモニア
- 炭酸リチウム
解答:2
HE染色に関する問題です。
エオジンは負に帯電し、㏗3~4.5で正に荷電した細胞質などとイオン結合することで染色されます。作製には酢酸が必要です。
アンモニア、炭酸リチウムはヘマトキシリン液の色出しに用いられることがあります(通常は流水水洗)。
AM 58(病理検査学)
縦隔に含まれない臓器はどれか。
- 肺
- 気 管
- 胸 腺
- 食 道
- 心 臓
解答:1
解剖学の問題です。
縦隔とは、左右の胸膜腔に挟まれた胸郭中央部(=左右の肺に挟まれた領域)を指します。縦隔に含まれる臓器はたくさんありますが、以下の7つだけ押さえておけば大丈夫です。
気管 食道 胸腺 心臓 大動脈 大静脈 胸管


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