第70回 臨床検査技師国家試験AM79~89【免疫検査学】過去問解説・重要ポイントです。間違いやご要望等ありましたらコメントしていただけると嬉しいです!
問題出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-07a_01.pdf
AM 79(免疫検査学)
B細胞で誤っているのはどれか。
- 抗原提示細胞である。
- 体液性免疫に関与する。
- 抗体産生細胞に分化する。
- 血中の分布はT細胞より少ない。
- コンカナバリン A〈Con A〉で幼若化が起こる。
解答:5
B細胞は抗体産生に関わるリンパ球であり、T細胞とは異なる特徴・機能を持ちます。
- 抗原提示細胞である。:正しいです。B細胞は表面にB細胞受容体(BCR)を持ち、抗原を直接取り込み、消化してMHCクラスII分子上に提示することでヘルパーT細胞の活性化を助けます。
- 体液性免疫に関与する。:正しいです。B細胞が形質細胞に分化し、抗体を産生することで病原体を排除する体液性免疫を担います。
- 抗体産生細胞に分化する。:正しいです。抗原やT細胞からの刺激を受けて活性化されたB細胞は、形質細胞と呼ばれる抗体産生能の高い細胞に分化します。
- 血中の分布はT細胞より少ない。:正しいです。末梢血中のリンパ球の約70~80%はT細胞、B細胞は約10~20%です。
- コンカナバリン A (Con A)で幼若化が起こる。:誤りです。コンカナバリンA(Con A)は、主にT細胞を幼若化(活性化・増殖)させるマイトジェン(幼若化刺激物質)です。B細胞を幼若化させるマイトジェンとしてはLPSやSACがあります。
B細胞はリンパ球の一種であり、主に液性免疫の中心的役割を担っています。抗原を認識し、形質細胞へと分化して抗体を産生することで病原体を排除します。
B細胞の主な機能と特徴
B細胞(形質細胞)はリンパ球の約20%を占め、主に抗体産生を通じて液性免疫に関与します。

B細胞は自身の持つBCRで抗原を直接認識し、MHCクラスⅡを介してヘルパーT細胞に抗原提示を行います。その後、ヘルパーT細胞や濾胞性ヘルパーT細胞による刺激を受けてB細胞は形質細胞に分化し、抗体を産生します。
また、B細胞はlipopolysaccharide(LPS)、staphylococcus CowanⅠ(SAC)により活性化します。
AM 80(免疫検査学)
主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉でクラスⅡ抗原を発現するのはどれか。
- 血小板
- 好中球
- NK細胞
- 神経細胞
- マクロファージ
解答:5
MHCクラスII分子は主に抗原提示細胞(APC)が発現し、外来性の抗原ペプチドをヘルパーT細胞に提示する役割を担います。
- 血小板: MHCクラスIは発現しますが、MHCクラスIIは発現しません。
- 好中球: 有核細胞でありMHCクラスIは発現しますが、MHCクラスIIは発現しません。
- NK細胞: MHCクラスIは発現しますが、MHCクラスIIは発現しません。MHCクラスIの発現が低い細胞を認識して攻撃します。
- 神経細胞: MHCクラスIは発現しますが、MHCクラスIIは発現しません。
- マクロファージ: 代表的な抗原提示細胞(APC)の一つであり、MHCクラスII抗原を発現します。外来抗原を取り込み、MHCクラスII分子上に提示することでヘルパーT細胞を活性化します。
主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)は免疫応答を調節する上で極めて重要な分子です。MHCクラスI分子とMHCクラスII分子に分けられ、それぞれ発現する細胞や提示する抗原、結合するT細胞が異なります。

MHCクラスI分子
- 発現細胞: ほぼ全ての有核細胞と血小板(赤血球は発現しない)
- 提示する抗原: 主に細胞内で産生された内来性抗原(ウイルス感染細胞のウイルス抗原、がん細胞のがん抗原など)
- 結合するT細胞: 細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)
CTLはMHCクラスIと抗原ペプチドの複合体を認識すると、その細胞を破壊
MHCクラスII分子
- 発現細胞: 主に抗原提示細胞(APC)と呼ばれる細胞(マクロファージ、B細胞、樹状細胞)
- 提示する抗原: 主に細胞外から取り込まれた外来性抗原(細菌や外来性ウイルスの抗原など)
- 結合するT細胞: ヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)
ヘルパーT細胞はMHCクラスIIと抗原ペプチドの複合体を認識すると活性化され、様々なサイトカインを産生して他の免疫細胞(B細胞、CTLなど)を助ける
AM 81(免疫検査学)
抗原と抗体の結合で誤っているのはどれか。
- 共有結合
- 水素結合
- 疎水結合
- 分子間力
- イオン結合
解答:1
抗原と抗体の結合は可逆的かつ非共有結合性の弱い結合の組み合わせによって成り立っています。
- 共有結合: 誤りです。抗原と抗体の結合は共有結合ではありません。
- 水素結合: 正しいです。抗原抗体結合に関与します。
- 疎水結合: 正しいです。抗原抗体結合に関与します。
- 分子間力: 正しいです。ファンデルワールス力とも呼ばれ、抗原抗体結合に関与します。
- イオン結合: 正しいです。抗原抗体結合に関与します。
抗原と抗体は、非常に特異的に結合することで免疫反応の中心的な役割を担います。多数の非共有結合が複合的に作用することで強力な特異性を生み出します。
抗原と抗体の結合様式
抗原と抗体の結合は水素結合やイオン結合、疎水結合、van der Waals力などの非共有結合によって形成されます。これら多数の弱い結合が相乗的に作用し、抗原と抗体の結合部位が立体的にぴったりと適合することで全体として非常に強力な結合を形成します。この結合は可逆的であり、環境条件(pH、塩濃度など)によって変化します。
AM 82(免疫検査学)
温度依存性蛋白はどれか。2つ選べ。
- ヘモペキシン
- ハプトグロビン
- パイログロブリン
- Bence Jones 蛋白
- α1-アンチトリプシン
解答:3,4
温度依存性蛋白とは、温度変化によって白濁沈殿したりゲル化したりする蛋白質を指します。
- ヘモペキシン: 血中に遊離したヘムを結合するタンパク質ですが、温度依存性はありません。
- ハプトグロビン: ヘモグロビンと結合するタンパク質ですが、温度依存性はありません。
- パイログロブリン: 加熱すると凝固・沈殿する温度依存性蛋白です。
- Bence Jones 蛋白: 加熱により混濁し、さらに加熱すると再溶解するという特徴的な温度依存性を持つタンパク質です。
- α1-アンチトリプシン: プロテアーゼ阻害作用を持ちますが、温度依存性はありません。
血中には様々なタンパク質が存在しますが、中には温度変化により性質が大きく変わるものがあります。これらは「温度依存性蛋白」と呼ばれ、特定の疾患で異常に増加するため、診断マーカーとなります。
主な温度依存性蛋白
- クリオグロブリン:
- 血清が4℃で沈殿・ゲル化し、37℃で再溶解する
- 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性骨髄腫などで見られる
- タイプI、Ⅱ、Ⅲに分類される
- タイプⅡ、Ⅲは混合型クリオグロブリンで、特に前者はC型肝炎で高頻度に見られる
- パイログロブリン:
- 血清を加熱(56℃・30分間)すると白濁・ゲル化し、100℃で再溶解しない
- 多発性骨髄腫やマクログロブリン血症などの悪性腫瘍で認められる
- Bence Jones 蛋白:
- 免疫グロブリンの遊離L鎖(軽鎖:κ鎖またはλ鎖)が、単独で尿中に排泄
- 56~60℃で混濁し、100℃で再溶解
- 多発性骨髄腫、原発性アミロイドーシスなどで認められる
AM 83(免疫検査学)
冷蔵保存した全血検体で検査可能なのはどれか。
- 寒冷凝集反応
- HBs 抗体検査
- クリオグロブリン検査
- 直接抗グロブリン試験
- Donath-Landsteiner 反応
解答:2
検体の保存条件は検査結果に大きく影響します。特に、温度によって反応性が変化する検査や、特定の成分が影響を受ける検査では注意が必要です。
- 寒冷凝集反応: 冷蔵保存で凝集が促進されるため、不適切です。
- HBs抗体検査: 冷蔵保存可能です。
- クリオグロブリン検査: 冷蔵保存でクリオグロブリンが沈殿するため、不適切です。
- 直接抗グロブリン試験: 冷蔵保存した全血検体は寒冷凝集素や補体が感作される可能性があるため、不適切です。
- Donath-Landsteiner反応: 冷蔵保存で抗体が赤血球に結合するため、不適切です。
検体の適切な採取、搬送、保存は、検査結果の信頼性を確保するために不可欠です。特に温度は検体中の不安定な成分の分解や、特定の物質の凝集・沈殿に影響を与えます。
冷蔵保存で注意が必要な検査
冷蔵(4℃)は多くの検体の保存に用いられますが、以下のような検査では注意が必要です。
- 寒冷凝集反応:
- 低温で赤血球に結合して凝集を引き起こす寒冷凝集素(自己抗体)を検出する検査です。冷蔵保存すると凝集が促進されるため採血後すぐに37℃で保温しないと正確な結果が得られません。冷蔵保存により偽陽性または実際の抗体価よりも高く検出される可能性があります。
- クリオグロブリン検査:
- 低温で沈殿するクリオグロブリンを検出する検査であり、採血後37℃で保温し、血清分離も37℃で行う必要があります。冷蔵保存するとクリオグロブリンが沈殿し、正確な測定ができません。
- 直接抗グロブリン試験 (DAT):
- 赤血球表面に結合している抗体や補体(主にIgGやC3d)を検出する検査です。冷蔵保存により寒冷凝集素や補体が感作され、偽陽性を示す可能性があります。
- Donath-Landsteiner反応:
- 発作性寒冷ヘモグロビン尿症の原因となる、低温で赤血球に結合し、37℃で溶血を引き起こす抗体(Donath-Landsteiner抗体)を検出する検査です。低温で活性化されるため採血後すぐに37℃で保温しないと正確な結果が得られません。
AM 84(免疫検査学)
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
- IgAは4つのCHドメインを持つ。
- IgDは胎盤通過性を持つ。
- IgEは分子量が最も大きい。
- IgGには2つのサブクラスが存在する。
- IgMは補体の古典経路を活性化する。
解答:5
免疫グロブリン(抗体)は構造や機能、血中濃度、胎盤通過性など異なる特徴を持ちます。
- IgAは4つのCHドメインを持つ。: 誤り。IgAは3つのCHドメインを持ちます。
- IgDは胎盤通過性を持つ。: 誤り。IgDは胎盤通過性を持ちません。
- IgEは分子量が最も大きい。: 誤り。分子量が最も大きいのは五量体のIgMです。
- IgGには2つのサブクラスが存在する。: 誤り。IgGには4つのサブクラスが存在します。
- IgMは補体の古典経路を活性化する。: 正しい。IgMは古典経路を効率よく活性化します。
免疫グロブリン(Ig)はB細胞から産生され、抗体として病原体の排除に重要な役割を果たします。ヒトではIgG、IgA、IgM、IgE、IgDの5つのクラス(アイソタイプ)があります。

各免疫グロブリンの特徴
- IgA:
- 主に単量体(血清中)または二量体(分泌型IgA)として存在
- 2つのサブクラス(IgA1、IgA2)が存在
- 分泌型IgAはJ鎖と分泌成分を持ち、粘膜免疫(唾液、涙、気道、消化管など)で重要な役割を果たす
- 分子量は単量体で約17万、分泌型で約40万
- CHドメインは3つ
- IgD:
- 主にB細胞表面に存在する膜結合型で、B細胞抗原受容体の一部として機能する
- 分子量は約18万
- CHドメインは3つ
- IgE:
- 血中濃度は最も低く、アレルギー反応や寄生虫感染防御に関与
- 分子量は約20万
- CHドメインは4つ
- IgG:
- 血中濃度は最も高く、二次免疫応答の中心的存在
- 胎盤通過性を持つ
- 4つのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)が存在
- 分子量は約15万
- 半減期は最も長く、約21日
- CHドメインは3つ
- IgM:
- 初期免疫応答で最初に産生される
- 五量体として存在
- 分子量は約90万
- 補体の古典経路を強力に活性化する(IgGも活性化するが、IgMの方が効率的)
- CHドメインは4つ
AM 85(免疫検査学)
補体系の検査結果を以下に示す。考えられるのはどれか。
| 検査項目 | 検査結果 |
|---|---|
| CH50 | 低下 |
| C3 | 基準範囲内 |
| C4 | 低下 |
| C1q | 基準範囲内 |
| C1-INH活性 | 低下 |
- 関節リウマチ
- 膜性増殖性糸球体腎炎
- 全身性エリテマトーデス
- 溶連菌感染後急性糸球体腎炎
- 遺伝性血管性浮腫〈遺伝性血管神経性浮腫〉
解答:5
補体系の検査結果から、CH50とC4の低下、C1q・C3が基準範囲内、C1-INH活性の低下という特徴的なパターンを読み解くことが重要です。
- 関節リウマチ: 慢性炎症性疾患。補体は活性化されることがありますが、C1-INH活性の低下は一般的ではありません。
- 膜性増殖性糸球体腎炎: 補体活性化が関与する腎炎。タイプIIではC3が著しく低下し、C3ネフリティック因子(C3NeF)が認められることが特徴です。
- 全身性エリテマトーデス (SLE): 活動期にはCH50、C3、C4全て低下することが多いです。特に免疫複合体による古典経路の活性化が顕著です。
- 溶連菌感染後急性糸球体腎炎: A群β溶連菌による急性感染症のあとに続発する。免疫複合体による古典経路活性化によりC3が低下することが多いです。
- 遺伝性血管性浮腫(遺伝性血管性浮腫):
- C1インヒビター(C1-INH)の量的または機能的欠損による疾患です。
- C1-INHは古典経路のC1を抑制する働きがあるため、C1-INHが低下するとこの補体成分が過剰に消費されます。
- その結果、CH50とC4が低下し、C1qは正常という特徴的な検査結果を示します。C3は正常であることが多いです。提示された検査結果と完全に一致します。
補体は免疫系の重要な構成要素であり、病原体の排除や免疫複合体の除去、炎症反応の誘発など様々な役割を担っています。補体活性化には主に古典経路・副経路・レクチン経路の3つの経路があります。
補体活性化経路の概略と検査値
- 古典経路:
- 活性化の引き金: 抗原抗体複合体(IgGまたはIgMが結合)や病原体の表面抗原など
- 主要な因子: C1(C1q, C1r, C1sからなる)、C2、C4、C3など

- 副経路:
- 活性化の引き金: 細菌表面(リポ多糖:LPSなど)にC3bが結合
- 主要な因子: C3、B因子、D因子などが関与

- レクチン経路:
- 活性化の引き金: マンノース結合レクチン(MBL)が細菌表面に結合
- 主要な因子: MBL、MASP、C4、C2などが関与

ちなみに、CH50 (Total Hemolytic Complement) は、全ての補体経路が正常に機能しているかを見る指標で、いずれかの経路に異常があれば低下します。
提示された検査結果の分析
- CH50:低下 → いずれかの補体経路が活性化、または補体成分の欠損
- C3:基準範囲内 → C3の消費は顕著ではない
- C4:低下 → 古典経路またはレクチン経路が活性化している可能性が高い
- C1q:基準範囲内 → 古典経路の開始因子であるC1qは正常に存在
- C1-INH活性:低下 → C1インヒビターの機能が低下
このパターン(C1-INH活性低下によるCH50とC4の低下)は、遺伝性血管性浮腫に特徴的です。
AM 86(免疫検査学)
ABO 亜型で正しいのはどれか。
- 後天性の変化である。
- ABO抗原が発現していない。
- 遺伝子関連検査を必要とする。
- 日本人ではBm型が最も多い。
- 体液にABO型物質を分泌しない。
解答:4
ABO亜型のうち、日本人におけるB型亜型の代表としてBm型の頻度が高いとされています。
- 後天性の変化である。: 誤りです。ほとんどのABO亜型は遺伝的(先天性)です。
- ABO抗原が発現していない。: 誤りです。発現していないわけではなく、発現が弱い、または質が異なることが多いです。
- 遺伝子関連検査を必要とする。: 誤りです。基本的に遺伝子関連検査が必要になることはありません。
- 日本人ではBm型が最も多い。: 正しいです。日本人で最も多いのはBm型(通常のB型よりも抗原量が少ない亜型)と言われています。
- 体液にABO型物質を分泌しない。: 誤りです。ABO亜型であっても、分泌型遺伝子(Se遺伝子)を持っていれば体液にABO型物質を分泌します。
ABO血液型は赤血球表面に存在するA抗原とB抗原の有無によって決定される最も基本的な血液型システムです。A抗原とB抗原は、それぞれ糖転移酵素の作用によって合成されます。ABO亜型は、これらの抗原の発現が通常よりも弱い、あるいは特徴的な変異を示す場合に分類されます。
ABO亜型の特徴
ABO亜型はA抗原やB抗原の発現が弱い、あるいは質的に異なることで生じます。ほとんどの場合、AまたはBの遺伝子に変異が存在することで酵素活性が低下したり、生成される抗原が変化したりすることで起こります。
- 遺伝的要因: ほとんどのABO亜型は、AまたはB遺伝子の特定の塩基配列の変異に起因します。
- 抗原発現: 通常のABO抗原が「発現していない」わけではなく、「発現量が少ない」あるいは「質が異なる」ため通常検査では判定が困難となることがあります。
- 血清学的特徴: 亜型の中には、通常は存在しない抗体(例:A2型における抗A1抗体)を産生することがあり、輸血時のリスクとなる場合があります。
- 分泌型: 分泌型(唾液などにABO型物質を分泌する)と非分泌型がありますが、亜型であることと分泌能は直接関連しません。
AM 87(免疫検査学)
タイプⅡのクリオグロブリンが高頻度に認められる疾患はどれか。
- HIV 感染症
- HCV 感染症
- 多発性骨髄腫
- 原発性胆汁性胆管炎
- 抗リン脂質抗体症候群
解答:2
クリオグロブリンは低温で可溶性が低下する異常免疫グロブリンであり、そのタイプⅡは特定の慢性ウイルス感染症との関連が強く知られています。
- HIV感染症: HIV感染症でもクリオグロブリン血症が見られることがありますが、タイプIIIが多い傾向にあります。
- HCV感染症(C型肝炎ウイルス感染症): タイプIIクリオグロブリン血症の最も高頻度な原因として知られています。HCVに感染したB細胞がモノクローナルIgM(抗IgG活性を持つ)を産生することが示唆されています。
- 多発性骨髄腫: 主にタイプIクリオグロブリン血症の原因となります。
- 原発性胆汁性胆管炎 (PBC): クリオグロブリン血症を合併することは稀です。
- 抗リン脂質抗体症候群: クリオグロブリン血症との関連は示唆されていません。
クリオグロブリン血症は、血中の異常免疫グロブリン(クリオグロブリン)が低温で沈殿またはゲル化し、温めると再溶解する現象を特徴とする疾患です。このクリオグロブリンは血管内で沈殿して血流障害や炎症を引き起こし、様々な症状(レイノー現象、紫斑、関節痛、腎障害など)を呈します。
クリオグロブリンの分類
クリオグロブリンは、その構成成分によって主に3つのタイプに分類されます。
- タイプI型:
- 構成成分: 単クローン性免疫グロブリン
- 関連疾患: 原発性マクログロブリン血症、多発性骨髄腫などのB細胞性リンパ増殖性疾患に合併することが多い
- タイプⅡ型:
- 構成成分: 多クローン性IgGと単クローン性IgM(抗IgG抗体として作用)
- 関連疾患: 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症と最も強く関連しており、その他自己免疫疾患(Sjögren症候群など)
- タイプⅢ型:
- 構成成分: 多クローン性IgGと多クローン性IgM
- 関連疾患: 自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど)、亜急性細菌性心内膜炎など
AM 88(免疫検査学)
Ⅰ型アレルギーが関与するのはどれか。2つ選べ。
- 花粉症
- 関節リウマチ
- 接触性皮膚炎
- アナフィラキシーショック
- 特発性血小板減少性紫斑病
解答:1,4
アレルギー反応はメカニズムに基づいてI型からIV型に分類されます。I型アレルギーはIgE抗体が関与する即時型過敏反応であり、マスト細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって引き起こされます。
- 花粉症: I型アレルギーの代表例です。アレルゲン(花粉)に対するIgE抗体が関与します。
- 関節リウマチ: 自己免疫疾患であり、Ⅲ型アレルギーが原因と考えられています。
- 接触性皮膚炎: Ⅳ型アレルギーの代表例です。金属アレルギーなどが含まれます。
- アナフィラキシーショック: I型アレルギーの最も重篤な全身反応です。
- 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP): Ⅱ型アレルギー(自己抗体による血小板破壊)が関与する自己免疫疾患です。
アレルギー反応は、GellとCoombsによって4つの型に分類されています。それぞれの型で関与する免疫細胞や分子、発症までの時間、症状などが異なります。
アレルギー分類(Gell & Coombs分類)
- I型アレルギー:
- 関与する免疫分子: IgE抗体、肥満細胞(マスト細胞)、好塩基球
- 機序: アレルゲンが肥満細胞や好塩基球のIgEに結合(架橋)すると、細胞が活性化して脱顆粒し、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出
- 発症時間: 数分~2時間後(即時型)
- 主な症状: 花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシーショックなど

- Ⅱ型アレルギー(細胞障害型):
- 関与する免疫分子: IgG抗体、IgM抗体、補体、免疫細胞
- 機序: 抗体が細胞表面の抗原に結合し、その細胞を標的として破壊(補体活性化や抗体依存性細胞介在性細胞障害性:ADCCなど)
- 主な症状: 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、Goodpasture症候群など

- Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型):
- 関与する免疫分子: IgG抗体、IgM抗体、補体、免疫細胞
- 機序: 抗原と抗体が結合してできた免疫複合体が血管壁や組織に沈着し、補体を活性化して炎症を引き起こす
- 主な症状: 血清病、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性糸球体腎炎など

- IV型アレルギー(遅延型過敏反応):
- 関与する免疫分子: T細胞(感作T細胞)、マクロファージ、サイトカイン
- 機序: 抗原に感作されたT細胞が再び抗原に触れると、サイトカインを放出してマクロファージなどを活性化し、炎症を引き起こす
- 発症時間: 24~48時間後(遅延型)
- 主な症状: 接触性皮膚炎、結核など

AM 89(免疫検査学)
Rh 血液型で正しいのはどれか。
- 検査(試験管法)は 37 ℃で行う。
- 日本人における RhD 陰性頻度は 10%である。
- RhD 陰性の確認は直接抗グロブリン試験で行う。
- RhD 陰性患者の赤血球輸血には RhD 陽性血を使用する。
- 日本人において検出される不規則抗体で最も頻度が高いのは抗 E である。
解答:5
Rh血液型は、ABO血液型に次いで重要な血液型であり、特にRhD抗原が重要です。
- 検査(試験管法)は37℃で行う。: 誤りです。試験管法は室温で行います。ちなみにD陰性確認試験は37℃で行います。
- 日本人におけるRhD 陰性頻度は10%である。: 誤りです。日本人におけるRhD陰性の頻度は約0.5%です。白人では約15%です。
- RhD 陰性の確認は直接抗グロブリン試験で行う。: 誤りです。RhD陰性の確認は抗ヒトグロブリン試薬を用いた間接抗グロブリン試験で行います。
- RhD 陰性患者の赤血球輸血には RhD 陽性血を使用する。: 誤りです。RhD陰性の患者にRhD陽性血を輸血すると、抗D抗体が産生され溶血性輸血副作用を起こす危険性があるため、原則としてRhD陰性血を用います。
- 日本人において検出される不規則抗体で最も頻度が高いのは抗Eである。: 正しいです。Rh系の抗体の中で抗E抗体は最も多く検出されています。
Rh血液型は、赤血球表面のRhD抗原の有無によってRhD陽性とRhD陰性に分類されます。抗D抗体は輸血や妊娠により産生され、溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患(HDN)の原因となります。
Rh血液型の特徴と検査のポイント
- D抗原:
- Rh血液型で最も免疫原性が強く、輸血や妊娠によって抗体を産生しやすい
- D抗原を持つ赤血球はRhD陽性、持たない赤血球はRhD陰性
- 日本人のD陽性者の頻度は99.5%、白人では85%(陰性者の頻度はそれぞれ0.5%、15%)
- 抗D抗体:
- 自然抗体(ABO血液型の抗A、抗B抗体のように生まれつき持っている抗体)ではなく、D抗原に感作される(輸血や妊娠など)と産生される不規則抗体
- 多くはIgGクラス(温式抗体)で、体温(37℃)付近で最もよく反応
- E抗原
- D抗原に次いで免疫原性が強い
- 日本人の半数がRhE陽性
- 抗E抗体
- Rh系の抗体で最も多く検出される

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