第69回 臨床検査技師国家試験 過去問解説 AM79~89(臨床免疫学)

第69回 臨床検査技師国家試験

第69回 臨床検査技師国家試験 過去問解説AM(79~89)です。間違いや要望等ありましたらコメントしていただけると嬉しいです!

問題出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf

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AM 79(臨床免疫学)

主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉について正しいのはどれか。

  1. 第 9 染色体短腕上に存在する。
  2. ヘルパー T 細胞はクラスⅠ分子と反応する。
  3. CD4 分子の結合部位は β2 ドメインに存在する。
  4. クラスⅠ分子の発現は抗原提示細胞に限局される。
  5. β2 -ミクログロブリン遺伝子は多型性に富んでいる。
解答:3

MHCに関する問題です。

一言解説

第9染色体短腕上に存在する
→ 誤り。MHCは第6染色体短腕に位置します。

ヘルパーT細胞はクラスⅠ分子と反応する
→ 誤り。ヘルパーT細胞(CD4陽性)はクラスII分子と反応します。

CD4分子の結合部位はβ2ドメインに存在する
→ 正しい。CD4はMHCクラスII分子のβ2ドメインに結合します。

クラスⅠ分子の発現は抗原提示細胞に限局される
→ 誤り。クラスI分子は全ての有核細胞と血小板に発現します。

β2-ミクログロブリン遺伝子は多型性に富んでいる
→ 誤り。β2-ミクログロブリンは多型性が少ないです。

主要組織適合性抗原(MHC)生体内で最も多型に富む分子(β2-ミクログロブリンを除く)であり、MHCクラスⅠの構成成分であるβ2-ミクログロブリン(第15番染色体)を除いて全て第6番染色体短腕に並んでいます。

MHCクラスⅠ分子は、α鎖とβ2-ミクログロブリンが非共有結合して形成されており、α3ドメインにT細胞のCD8結合部位(CD8:キラーT細胞)があります。MHCクラスⅠにはHLA-A、-B、-Cの3種類があり、ほとんどすべての有核細胞と血小板に存在しています。

MHCクラスⅡ分子は、α鎖とβ鎖が非共有結合して形成されています。抗原ペプチドはα1とβ1の各々のドメインのN末端側に形成されており、β2ドメインにはT細胞のCD4結合部位(CD4:ヘルパーT細胞)があります。MHCクラスⅡにはHLA-DP、-DQ、-DRの3種類があり、樹状細胞マクロファージB細胞などの抗原提示細胞のみに存在しています。

AM 80(臨床免疫学)

B 細胞はどれか。

  1. CD3 陽性細胞
  2. CD4 陽性細胞
  3. CD8 陽性細胞
  4. CD19 陽性細胞
  5. CD56 陽性細胞
解答:4

CD抗原の問題です。

一言解説

CD3陽性細胞
→ 誤り。CD3はT細胞に特有です。
CD4陽性細胞
→ 誤り。CD4はヘルパーT細胞のマーカーです。
CD8陽性細胞
→ 誤り。CD8は細胞傷害性T細胞のマーカーです。
CD19陽性細胞
→ 正しい。CD19はB細胞の表面マーカーです。
CD56陽性細胞
→ 誤り。CD56はNK細胞のマーカーです。

CD抗原は覚えていないとそもそも解けない問題も出てくるため、必ず覚えましょう!

主な発現細胞CD抗原
T細胞(全般)CD2・CD3
(ヘルパー)CD4
(キラー)CD8
B細胞CD19
CD20
CD21
幹細胞CD34
単球CD14
顆粒球CD13
NK細胞CD56
巨核球CD41
CD抗原


AM 81(臨床免疫学)

間接(受身)凝集反応で検出できないのはどれか。

  1. HBs 抗体
  2. HCV 抗体
  3. HTLV-1 抗体
  4. マイコプラズマ抗体
  5. Donath-Landsteiner 抗体
解答:5

受身凝集反応の問題です。

一言解説

HBs抗体
→ 間接凝集反応で検出可能です。

HCV抗体
→ 間接凝集反応で検出可能です。

HTLV-1抗体
→ 間接凝集反応で検出可能です。

マイコプラズマ抗体
→ 間接凝集反応で検出可能です。

Donath-Landsteiner抗体
誤り。Donath-Landsteiner抗体は寒冷性抗体であり、間接凝集反応では検出できません。

発作性寒冷ヘモグロビン尿症の原因抗体であるDonath-Landsteiner 抗体は、溶解反応を利用したDonath-Landsteiner 試験により検出します。

AM 82(臨床免疫学)

間接蛍光抗体法による抗核抗体検査所見を別に示す。この所見から考えられるのはどれか。

  1. CREST 症候群
  2. Sjögren 症候群
  3. 薬剤誘発性ループス
  4. 混合性結合組織病〈MCTD〉
  5. 全身性エリテマトーデス〈SLE〉
解答:1

間接蛍光抗体法(FANA)の写真問題です。

一言解説

CREST症候群
→ 特定の抗核抗体パターンが見られますが、この問題の所見ではありません。

Sjögren症候群
→ 特定のパターンが見られますが、この問題の所見ではありません。

薬剤誘発性ループス
→ この所見とは一致しません。

混合性結合組織病〈MCTD〉
正しい。この所見はMCTDで典型的に見られます。

全身性エリテマトーデス〈SLE〉
→ SLEも抗核抗体陽性になりますが、この所見とは異なります。

代表的なFANA染色パターンとその疾患を以下にまとめます!写真は各自で確認していただけると嬉しいです。

染色パターン推定される抗体と代表的疾患
peripheral(辺縁型)抗dsDNA→SLE
homogeneous(均質型)抗ヒストン抗体→SLE、薬剤誘発性ループス
抗DNP抗体→SLE
speckled(斑紋型)抗ENA抗体(U1-RNP)→MCTD、SLE、SSc
抗ENA抗体(Sm)→SLE
抗ENA抗体(SS-A/Ro, SS-B/La)→SS
抗ENA抗体(Scl-70)→SSc(びまん性)
nucleolar(核小体型)抗核小体抗体(RNA, リボゾーム)→SSc
centromere(セントロメア型)抗セントロメア抗体→SSc(限局性)、CREST症候群
FANA染色パターン

また、これに加えて抗ミトコンドリア抗体の代表疾患としてPBCが挙げられます。

AM 83(臨床免疫学)

抗ミトコンドリア抗体が検出されるのはどれか。

  1. 重症筋無力症
  2. 慢性甲状腺炎
  3. Goodpasture 症候群
  4. 原発性胆汁性胆管炎
  5. 特発性血小板減少性紫斑病
解答:4

自己免疫疾患とその自己抗体に関する問題です。

一言解説
  1. 重症筋無力症: 関連はありません。
  2. 慢性甲状腺炎:関連はありません。
  3. Goodpasture症候群:関連はありません。
  4. 原発性胆汁性胆管炎正しい。抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎(PBC)に関連します。
  5. 特発性血小板減少性紫斑病:関連はありません。

主な自己免疫疾患とその原因となる自己抗体について以下にまとめます!

自己免疫疾患自己抗体
慢性甲状腺炎(橋本病抗サイログロブリン抗体
抗マイクロソーム抗体
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
Basedow病抗TSHレセプター抗体
重症筋無力症抗アセチルコリンレセプター抗体
悪性貧血抗内因子抗体
抗胃壁細胞抗体
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)抗赤血球抗体
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)抗血小板抗体
原発性胆汁性胆管炎抗ミトコンドリア抗体
自己免疫性肝炎抗平滑筋抗体
Goodpasture症候群抗糸球体基底膜抗体
全身性エリテマトーデス(SLE)抗dsDNA抗体
抗Sm抗体
全身性硬化症(SSc)抗Scl-70抗体
抗セントロメア抗体
多発性筋炎/皮膚筋炎抗Jo-1抗体
混合性結合組織病(MCTD)抗U1-RNP抗体
関節リウマチ(RA)リウマトイド因子
抗CCP抗体
顕微鏡的多発血管炎p-ANCA(MPO-ANCA)
多発血管炎性肉芽腫症c-ANCA(PR3-ANCA)
抗リン脂質抗体症候群(APS)抗カルジオリピン-β2-グリコプロテインⅠ複合体抗体
シェーグレン症候群(SS)抗SS-A抗体
抗SS-B抗体
自己免疫疾患と自己抗体

最近、顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症についての問題も見られるようになったので、注意が必要です。

AM 84(臨床免疫学)

抗体を精製する方法でないのはどれか。

  1. 塩 析
  2. ゲル濾過
  3. イオン交換クロマトグラフィ
  4. 塩化セシウム密度勾配遠心分離法
  5. アフィニティカラムクロマトグラフィ
解答:4

抗体の精製方法に関する問題です。

一言解説

塩析
→ 抗体の精製方法です。

ゲル濾過
→ 抗体の精製方法です。

イオン交換クロマトグラフィ
→ 抗体の精製方法です。

塩化セシウム密度勾配遠心分離法
誤り。この方法はDNAやウイルスの精製に使用されます。

アフィニティカラムクロマトグラフィ
→ 抗体の精製方法です。

主な精製方法は以下の4種類があります。

塩析:溶解度の違いを利用

イオン交換クロマトグラフィ:イオンを利用

ゲル濾過:分子の大きさを利用

アフィニティカラムクロマトグラフィ:親和性を利用

ちなみに塩化セシウム密度勾配遠心分離法は、密度の違いを利用してDNAとRNAの分離などに用いられます。

AM 85(臨床免疫学)

受血者と供血者の血液型を以下に示す。輸血を行った場合、受血者が産生する可能性のある不規則抗体はどれか。

血液型ABORhKiddDuffyDiego
受血者A型DccEEJk(a+b-)Fy(a+b-)Di(a-b+)
供血者A型DCCEEJk(a-b+)Fy(a+b+)DI(a+b+)
  1. 抗 c、抗 Jkb、抗 Fyb、抗 Dib
  2. 抗 C、抗 Jka、抗 Fya、抗 Dia
  3. 抗 C、抗 Jkb、抗 Fyb、抗 Dia
  4. 抗 D、抗 Jka、抗 Fya、抗 Dia
  5. 抗 E、抗 Jkb、抗 Fya、抗 Dia
解答:3

不規則抗体に関する問題です。

一言解説

受血者と供血者の血液型データを照らし合わせて、抗体を産生する可能性があるのは、供血者が持っていて受血者が持っていない抗原に対するものです。

Rh:供血者はC抗原を持ち、受血者は持っていない → 抗C産生の可能性

Kidd:受血者はJka陽性、供血者はJka陰性 → 抗Jkaの産生可能性なし

Duffy:供血者はFyb陽性、受血者はFyb陰性 → 抗Fyb産生の可能性

Diego:供血者はDia陽性、受血者はDia陰性 → 抗Dia産生の可能性

供血者が持っていて受血者が持っていない抗原に対する抗体を産生する可能性があります。この問題であれば供血者が持っていて、受血者は持っていない抗原は、C・Jkb・Fyb・Diaです。従って選択肢3が答えになります。

AM 86(臨床免疫学) 

緊急輸血が必要な患者が搬送された。血液型の確定ができない状況下で使用する輸血用血液製剤と血液型の組合せで正しいのはどれか。

  1. 赤血球製剤 A 型 RhD 陽性
  2. 赤血球製剤 O 型 RhD 陽性
  3. 赤血球製剤 AB 型 RhD 陽性
  4. 血漿製剤 B 型 RhD 陰性
  5. 血漿製剤 O 型 RhD 陰性
解答:2

緊急輸血に関する問題です。現実に即した良い問題ですね。

一言解説

赤血球製剤 A 型 RhD 陽性
→ 不適切。緊急輸血ではO型を使用する。

赤血球製剤 O 型 RhD 陽性
正しい。O型RhD陽性は血液型不明の場合、RhD陽性患者に使用可能。

赤血球製剤 AB 型 RhD 陽性
→ 不適切。O型を優先。

血漿製剤 B 型 RhD 陰性
→ 不適切。AB型血漿が最適。

血漿製剤 O 型 RhD 陰性
→ 不適切。O型血漿は抗体が含まれるため不適切。

血液型が確定できない状況下では、赤血球製剤はO型血漿・血小板製剤はAB型を輸血します。また、Rh不明の際にはRh(-)が無ければRh(+)を輸血します。

暗記でもよいですが、少し考えてみると覚えなくて済みます。血液型不明の場合、赤血球製剤でO型を選択する理由は、O型赤血球上に抗原が存在しないため、抗原抗体反応を起こす確率が低いからです。仮にAB型の赤血球を輸血してしまうと、もし患者さんがO型やA型、B型であれば血漿中の抗体と輸血された抗原が反応してしまいますよね。もちろん、O型赤血球製剤が無ければ他を使うしかありませんが、救命第一です。

血漿や血小板製剤も同様の考え方ができますよ!

また、Rh血液型についても、望ましいのはRh(-)の輸血ですが、希少なのでRh(+)を使うこともあります。ここも基本的には救命第一に考えます。

AM 87(臨床免疫学)

輸血検査の内部精度管理で、確認する必要性が低い項目はどれか。

  1. 検査室気圧
  2. 検査室室温
  3. 検査室湿度
  4. 恒温槽の温度
  5. 判定用遠心機の回転数
解答:1

精度管理の問題です。

一言解説

検査室気圧
正しい。気圧の変動が検査結果に大きな影響を与えることは少ない。

検査室室温
→ 確認必要。検査の正確性に影響する。

検査室湿度
→ 確認必要。試薬の保存に影響。

恒温槽の温度
→ 確認必要。特に温度依存の検査で重要。

判定用遠心機の回転数
→ 確認必要。遠心力が正確な判定に影響。

輸血検査の内部精度管理で検査が必要な項目として、検査室室温(反応温度に関わる)・検査室湿度(試薬の保存に関わる)・恒温槽の温度(反応温度に関わる)・判定用遠心機の回転数(判定に関わる)などがあります。

この問題は暗記というよりも、輸血検査において管理しないと検査結果に影響を与える項目は精度管理を行う必要がある、と理解しておく程度でよいと思います。

AM 88(臨床免疫学)

ABO 血液型について誤っているのはどれか。

  1. ABO 血液型は Landsteiner の法則に従う。
  2. ABO 遺伝子は第 9 染色体長腕に存在する。
  3. 新生児や乳児の ABO 血液型抗原量は少ない。
  4. 抗 A および抗 B 抗体の産生は胎児期に始まる。
  5. 獲得性 B は A 抗原が後天的に変化したものである。
解答:4

ABO血液型に関する問題です。

一言解説

ABO血液型はLandsteinerの法則に従う
→ 正しい。Landsteinerの法則に基づき、自分の血液型抗原に対する抗体を持たない。

ABO遺伝子は第9染色体長腕に存在する
→ 正しい。ABO血液型を決定する遺伝子は第9染色体にある。

新生児や乳児のABO血液型抗原量は少ない
→ 正しい。新生児では抗原量が少なく、発達とともに増加する。

抗Aおよび抗B抗体の産生は胎児期に始まる
→ 誤り。抗A・抗B抗体は生後6か月以降に産生される。

獲得性BはA抗原が後天的に変化したものである
→ 正しい。細菌感染などでA抗原がB型抗原様に変化することがある。

ABO血液型は、1900年にLandsteinerによって発見されました。A型の人はA抗原と抗Bを持ち、B型の人はB抗原と抗A、O型の人は抗原を持たず抗A、抗Bをもち、AB型の人はA抗原とB抗原の両方を持つが抗体は持っていません。これをLandsteinerの法則と言い、ABO血液型のみこの法則に従います。

ABO血液型抗原は糖鎖であり、基本構造であるH抗原にA糖転移酵素がN-アセチルガラクトサミンを付加するとA抗原が、B糖転移酵素がD-ガラクトースを付加することでB抗原が作られます。O抗原はO糖転移酵素が不活性なため、H抗原がそのままO抗原となります。

赤血球膜上のA抗原やB抗原は、出生時には十分に発達しておらず(抗原量が少ない)、生後2~4年後に成人レベルに達します。抗Aや抗Bなどの抗体は生後6ヶ月頃から産生が始まります

ABO遺伝子は第9番染色体長腕に位置しています。それぞれの血液型の頻度は、日本人でA型、O型、B型、AB型の順に多く、A:O:B:AB=4:3:2:1です。この頻度は国によって大幅に異なります。

また、ABO血液型には亜型(通常よりも抗原量が少ない)が存在します。さらに、原則的には一生変わることのないABO血液型ですが、元々A型の人が細菌感染などを機にAB型様を示す現象を獲得性Bといいます。

AM 89(臨床免疫学)

Th2 細胞が産生するサイトカインはどれか。 2 つ選べ。

  1. インターロイキン 2
  2. インターロイキン 4
  3. インターロイキン 10
  4. インターロイキン 12
  5. インターフェロン γ
解答:2,3

サイトカインとその産生細胞に関する問題です。

一言解説

インターロイキン2 (IL-2)
→ 誤り。これは主にTh1細胞が産生する。

インターロイキン4 (IL-4)
正しい。Th2細胞が主に産生するサイトカイン。

インターロイキン10 (IL-10)
正しい。IL-10もTh2細胞が産生する。

インターロイキン12 (IL-12)
→ 誤り。マクロファージが産生。

インターフェロンγ (IFN-γ)
→ 誤り。Th1細胞が産生。

サイトカイン産生細胞は諸説あることも多いのでここでは代表的なものだけピックアップします!

産生細胞主なサイトカイン
Th1細胞IL-2
IFN-γ
Th2細胞IL-4
IL-5(好酸球の増殖・活性化)
IL-10
IL-13
Th17細胞IL-17
IL-22
マクロファージIL-1
IL-6
(急性期蛋白の産生促進・B細胞の分化・抗体産生促進)
IL-8
IL-12
TNF-α
樹状細胞IFN-α
Treg細胞IL-10
主なサイトカインと産生細胞

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