第69回 臨床検査技師国家試験 過去問解説 AM68~78(臨床微生物学)

第69回 臨床検査技師国家試験

第69回 臨床検査技師国家試験 過去問解説AM(68~78)です。間違いや要望等ありましたらコメントしていただけると嬉しいです!

問題出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf

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AM 68(臨床微生物学)

世代時間が最も長いのはどれか。

  1. Bacillus cereus
  2. Escherichia coli
  3. Mycobacterium tuberculosis
  4. Staphylococcus aureus
  5. Vibrio parahaemolyticus
解答:3

世代時間に関する問題です。

一言解説

世代時間とは、細菌が分裂し、新しい世代を形成するのに要する時間です。通常、細菌の世代時間はその種に特有であり、環境や栄養状態によっても変化します。

Bacillus cereus: 約20-30分で増殖。

Escherichia coli: 20分程度で分裂し、非常に短い世代時間を持つ。

Mycobacterium tuberculosis: 12〜24時間と、非常に長い世代時間を持つ。

Staphylococcus aureus: 約30分

Vibrio parahaemolyticus: 約10〜15分の速い増殖速度。

最も世代時間が長いのはMycobacterium tuberculosisです。この細菌は分裂に長時間かかるため、結核治療も長期間にわたります。

世代時間とは、1個の細菌が2個に分裂するまでの時間のことです。特に腸炎ビブリオと結核菌は具体的な数値を覚えておきましょう。

Vibrio parahaemolyticus(腸炎ビブリオ):10分

Escherichia coli(大腸菌):20~30分

Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌):30~40分

Mycobacterium tuberculosis(結核菌):15時間

AM 69(臨床微生物学)

多剤耐性結核菌の判定に用いないのはどれか。

  1. アミカシン
  2. イソニアジド
  3. リファンピシン
  4. レボフロキサシン
  5. ストレプトマイシン
解答:5

薬剤耐性基準の問題です。

一言解説

多剤耐性結核菌 (MDR-TB) とは、主要な抗結核薬であるイソニアジド (INH)リファンピシン (RFP) に耐性を持つ結核菌です。多剤耐性結核の判定には、これらの薬剤の感受性試験が行われます。

アミカシン: 一部の多剤耐性結核に使用され、判定にも用いられる。

イソニアジド (INH): 多剤耐性結核の主要な判定基準。

リファンピシン (RFP): 多剤耐性結核のもう一つの主要な判定基準。

レボフロキサシン: 第2選択薬として多剤耐性結核治療に使用され、判定にも用いられる。

ストレプトマイシン: 古い抗結核薬で、判定には用いられない。

多剤耐性結核菌(MDR-TB)は、イソニアジドリファンピシンの両薬剤に耐性を示します。このMDR-TBの中でも、ニューキノロン系(レボフロキサシンなど)耐性かつカナマイシンアミカシンカプレオマイシンの1種類以上に耐性を示すものをXDR-TBと呼ぶこともあります。

AM 70(臨床微生物学) 

腸管感染症患者の下痢便の Gram 染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。

  1. Aeromonas hydrophila
  2. Campylobacter jejuni
  3. Helicobacter pylori
  4. Vibrio parahaemolyticus
  5. Yersinia enterocolitica
解答:2

Gram染色標本の問題です。少し難しめですね。

一言解説

腸管感染症を引き起こす主な細菌は、それぞれ特徴的な形態を持っています。

Campylobacter jejuniは、らせん状またはカモメ翼状のグラム陰性桿菌で、下痢便のGram染色標本で頻繁に見られる形態です。

まず、この問題は写真を見てすぐに「Gram陰性らせん菌」と分かりますね。代表的なグラム陰性らせん菌は、CampylobacterHelicobacterです。

それでも今回は選択肢2と3が残りますね。ここで大事な情報は「腸管感染症」というワードです。H. pylori はご存知の通り胃に感染するため、腸管ではないですよね。従って今回の答えは C. jejuni となります。

代表的な菌のGram染色分類は個別にまとめて投稿したいと思っています!

AM 71(臨床微生物学)

カルバペネム系抗菌薬が有効なのはどれか。

  1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
  2. バンコマイシン耐性腸球菌〈VRE〉
  3. 多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉
  4. 多剤耐性アシネトバクター〈MDRA〉
  5. 基質拡張型 β-ラクタマーゼ〈ESBL〉産生大腸菌
解答:5

耐性菌に関する問題です。

一言解説

カルバペネム系抗菌薬は、広範囲に作用するβ-ラクタム系抗生物質で、多くのグラム陽性・陰性菌に対して効果があります。ただし、特定の多剤耐性菌には無効です。

MRSA: バンコマイシンやリネゾリドが有効で、カルバペネムは無効。

VRE: バンコマイシン耐性であり、カルバペネムは無効。

MDRP: 緑膿菌の多剤耐性株にはカルバペネムも無効。

MDRA: 多剤耐性のアシネトバクターにはカルバペネムが効きにくい。

ESBL産生大腸菌: ESBL産生菌はほとんどのβ-ラクタム系抗生物質に耐性を持ちますが、カルバペネム系抗菌薬は有効です。

耐性基準がある菌についてまとめておきます。

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
    • オキサシリンセフォキシチンの両剤に耐性
  • 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
    • カルバペネム系(イミペネムなど)、キノロン系(シプロフロキサシンなど)、抗緑膿菌用アミノグリコシド系(アミカシン)の3剤全てに耐性
  • 多剤耐性アシネトバクター(MDRA)
    • カルバペネム系(イミペネムなど)、キノロン系(シプロフロキサシンなど)、抗緑膿菌用アミノグリコシド系(アミカシン)の3剤全てに耐性

ちなみに、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)はカルバペネム系に自然耐性を示します。

基質拡張型 βラクタマーゼ(ESBL)産生菌は、ペニシリン系・第1~4世代セファロスポリン系・モノバクタム系を分解できます(=カルバペネム系は分解できないため治療に有効)。

AM 72(臨床微生物学)

真菌に分類されるのはどれか。 2 つ選べ。

  1. Chlamydia trachomatis
  2. Cryptococcus neoformans
  3. Nocardia asteroides
  4. Pneumocystis jirovecii
  5. Treponema pallidum
解答:2,4

微生物分類の問題です。

一言解説

真菌とは、カビや酵母などを含む真核生物で、抗菌薬に対する感受性が異なります。

Chlamydia trachomatis: 細菌。真菌ではありません。

Cryptococcus neoformans: 真菌であり、クリプトコッカス症の原因となります。

Nocardia asteroides: 細菌。特に放線菌に分類され、真菌ではありません。

Pneumocystis jirovecii: かつては原虫と考えられていましたが、現在は真菌に分類されています。

Treponema pallidum: スピロヘータ属の細菌であり、真菌ではありません。

Chlamydia trachomatisはクラミジア科、Nocardia asteroidesはGram陽性桿菌、Treponema pallidumはスピロヘータ科にそれぞれ属する細菌です。

一方、Cryptococcus neoformansは酵母様真菌、Pneumocystis jiroveciiも真菌に分類されます。

大まかに言うと、微生物には細菌と真菌があり、細菌はさらにGram染色結果で分類されます。真菌は酵母様真菌糸状菌に分類され、後者はさらに接合菌や黒色真菌、皮膚糸状菌などに細かく分類されています。

AM 73(臨床微生物学)

培地と使用目的の組合せで正しいのはどれか。 2 つ選べ。

  1. Bordet-Gengou 培地 ― 選択分離
  2. Cary-Blair 培地 ― 性状確認
  3. King A 培地 ― 検体輸送
  4. LIM 培地 ― 選択増菌
  5. Mueller-Hinton 寒天培地 ― 薬剤感受性検査
解答:(1),5

培地と使用目的に関する問題です。この問題は厚生労働省の解答が1,5となっていますが、正しくは5のみだと考えられます。

一言解説

Bordet-Gengou 培地は、百日咳菌の分離に使われます。

Cary-Blair 培地は検体の輸送に使われ、性状確認には使われません。

King A 培地は色素産生を確認するためのもので、検体輸送には不適です。

LIM 培地は、Salmonella属やShigella属と他の腸内細菌科細菌との区別に用いられます。

Mueller-Hinton 寒天培地は、抗菌薬感受性試験に使われる標準的な培地です。

選択肢1のBordet-Gengou 培地Bordetella pertussisの非選択分離培地です。ジャガイモ浸出液中のデンプンが培地中の発育阻害物質を吸着します。

選択肢2のCary-Blair 培地は検体輸送用培地です。「キャリーだから運ぶ」で覚えましょう。

選択肢3のKing A 培地は性状確認培地です。Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の色素産生能を調べることができます。

選択肢4のLIM 培地は性状確認培地です。リジン脱炭酸反応・インドール産生能・運動性を調べることで、Salmonella属やShigella属と他の腸内細菌科細菌との区別に用いられます。

選択肢5のMueller-Hinton 寒天培地は薬剤感受性検査用培地です。

以下に、培地の種類と具体例について簡単にまとめます。詳細な内容はまた別の機会に投稿します!

培地の種類具体例
非選択分離培地
=選択成分を含まない分離培地
ハートインフュージョン寒天培地
血液寒天培地
チョコレート寒天培地
BTB乳糖寒天培地
Bordet-Gengou培地
B-CYEα寒天培地

Loffler培地
ブルセラ血液寒天培地
CW寒天培地
選択分離培地
=選択成分を含み、特定の菌以外の菌の発育を抑える分離培地
マンニット食塩培地
MacConkey寒天培地
Thayer-Martin培地
DHL寒天培地
SS寒天培地

CIN寒天培地
TCBS寒天培地
Skirrow寒天培地
NAC寒天培地
WYOα寒天培地
BBE寒天培地
CCF(M)A寒天培地
PPLO寒天培地
増菌培地
=検体中の菌を確実に検出するために用いる
GAM半流動培地
HK半流動培地
選択増菌培地
=特定の菌のみを増菌
Pike培地
セレナイト培地

アルカリペプトン水
性状確認培地
=分離菌の生化学的性状を調べる
胆汁エスクリン寒天培地
TSI寒天培地
SIM培地
LIM培地

VP半流動培地
クエン酸塩培地
Moller培地
King A培地
抗酸菌用培地小川培地
真菌用培地サブローデキストロース寒天培地
ポテトデキストロース寒天培地
コーンミール寒天培地
保存・輸送用培地Cary-Blair培地
Stuart培地
Amies培地
薬剤感受性検査用培地Mueller-Hinton寒天培地
培地の種類と具体例

AM 74(臨床微生物学)

WHO が提唱している手指衛生のタイミングに含まれないのはどれか。

  1. 無菌操作の前
  2. 患者に触れる前
  3. 患者に触れた後
  4. 患者周辺の物品に触れる前
  5. 体液に曝露された可能性のある場合
解答:4

手指衛生に関する問題です。

一言解説

無菌操作の前正しい。無菌操作の前は手指衛生が推奨されています。

患者に触れる前正しい。患者に触れる前の手指衛生は重要です。

患者に触れた後正しい。患者に触れた後も、感染拡大防止のために手指衛生が必要です。

患者周辺の物品に触れる前誤り。WHOの基準にはこの項目は含まれていません。

体液に曝露された可能性のある場合正しい。体液に触れた可能性がある場合、手指衛生は不可欠です。

WHOが提唱している手指衛生のタイミングは以下の通りです。

患者に触れる前 ②清潔/無菌操作の前 ③体液に曝露された可能性のある場合 ④患者に触れた後 ⑤患者周辺の物品に触れた後

AM 75(臨床微生物学)

細菌と毒素の組合せで誤っているのはどれか。

  1. Clostridium tetani ― 神経毒素
  2. Enterohemorrhagic Escherichia coli〈EHEC〉 ― ベロ毒素
  3. Staphylococcus aureus ― エンテロトキシン
  4. Streptococcus pyogenes ― 毒素性ショック症候群毒素
  5. Vibrio parahaemolyticus ― 耐熱性溶血毒
解答:4

毒素(外毒素)の問題です。

一言解説

Clostridium tetaniは神経毒素を産生し、破傷風を引き起こします。

腸管出血性大腸菌 (EHEC)は、ベロ毒素を産生して出血性大腸炎を引き起こします。

Staphylococcus aureusはエンテロトキシンを産生し、食中毒の原因になります。

Streptococcus pyogenesは、毒素性ショック症候群毒素を産生しません。

Vibrio parahaemolyticusは溶血性毒素を産生します。

主な外毒素とその産生菌を以下にまとめておきます。

産生菌外毒素
Staphylococcus aureus毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)
皮膚剝脱毒素

耐熱性エンテロトキシン
ロイコシジン
Streptococcus pyogenesストレプトリジン
ストレプトキナーゼ

ディック毒素(発赤毒素)
Streptococcus pneumoniaeニューモリシン
Escherichia coli(EHEC)志賀毒素(ベロ毒素)
Shigella dysenteriae志賀毒素(ベロ毒素)
Vibrio choleraeコレラトキシン
Pseudomonas aeruginosaエキソトキシンA
Corynebacterium diphtheriaeジフテリア毒素(神経毒素)
Clostridium tetaniテタノスパミン(神経毒素)
Clostridium botulinumボツリヌス毒素(神経毒素)
Clostridium perfringensエンテロトキシン
α毒素
Clostridium difficileトキシンA
トキシンB
主な外毒素と産生菌

AM 76(臨床微生物学) 

ハートインフュージョンブイヨンで培養した菌の染色標本を別に示す。染色法はどれか。

  1. Giménez 染色
  2. Hiss 法
  3. Leifson 法
  4. Neisser 法
  5. Wirtz 法
解答:3

染色法の画像問題です。

一言解説

Giménez 染色は、レジオネラの染色に用いられます。

Hiss 法は、莢膜を持つ細菌の染色に使用されます。

Leifson 法は、鞭毛染色に使用されます。

Neisser 法は、ジフテリア菌の異染小体を染色します。

Wirtz 法は、芽胞の染色に使われます。

今回は鞭毛が染まっていることが確認できるため、選択肢3のLeifson法が正解となります。

微生物分野でよく問われる染色法を以下にまとめます。

目的染色法染色液
細菌全般Gram染色
(Hucker変法)
染色:クリスタルバイオレット
媒染:ルゴール液
分別:エタノール(orアセトン・エタノール)
対比染色:サフラニン(orパイフェル液)
抗酸菌Ziehl-Neelsen染色染色:石炭酸フクシン
分別:3%塩酸アルコール
対比染色:メチレン青
抗酸菌オーラミンO・ローダミンB染色:オーラミンO・ローダミンB
分別:3%塩酸アルコール
対比染色:メチレン青
弱抗酸菌Kinyoun染色染色:石炭酸フクシン
分別:0.5~1%硫酸水
対比染色:メチレン青
レジオネラ菌Gimenez染色染色:石炭酸フクシン
対比染色:マラカイト緑
異染小体
C.diphtheriae)
Neisser染色ナイセル液
クリソイジン液
芽胞Wirtz法染色:マラカイト緑
対比染色:サフラニン液
芽胞Moller法脱脂:5%クロム酸液
染色:石炭酸フクシン
分別:硫酸水
対比染色:サフラニン
莢膜Hiss法染色:ゲンチアナ紫
洗浄:硫酸銅水溶液
鞭毛Leifson法パラローズアニリン混合液
Cryptococcus墨汁法墨汁
糸状菌ラクトフェノール・コットンブルー染色ラクトフェノール・コットンブルー液
皮膚糸状菌KOH法10~30%KOH
微生物分野 染色法まとめ

なかでも、Ziehl-Neelsen染色・Wirtz法・Moller法・Hiss法は加熱が必要です!

AM 77(臨床微生物学)

血中薬物濃度測定による治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象となるのはどれか。

  1. アンピシリン
  2. イミペネム
  3. エリスロマイシン
  4. ゲンタマイシン
  5. セファゾリン
解答:4

TDMの問題です。

一言解説

アンピシリン誤り。アンピシリンはTDMの対象となりません。

イミペネム誤り。イミペネムもTDMの対象とはなりません。

エリスロマイシン誤り。エリスロマイシンはTDM対象外です。

ゲンタマイシン正しい。ゲンタマイシンはTDMの対象薬物で、適切な血中濃度のモニタリングが必要です。

セファゾリン誤り。セファゾリンはTDMの対象ではありません。

グリコペプチド系バンコマイシンテイコプラニン等)とアミノグリコシド系アミカシンゲンタマイシン等)の薬剤は腎障害を引き起こしやすいため、TDMによる適切なモニタリングが必要です。

AM 78(臨床微生物学)

ウイルスと疾患の組合せで正しいのはどれか。

  1. コクサッキーウイルス ― 尿道炎
  2. サイトメガロウイルス ― 手足口病
  3. デングウイルス ― 肺炎
  4. ヒトパルボウイルス ― 伝染性紅斑
  5. ヒト RS ウイルス ― 脳炎
解答:4

ウイルスと疾患の問題です。

一言解説

コクサッキーウイルス ― 尿道炎誤り。コクサッキーウイルスは主に手足口病や心筋炎を引き起こします。

サイトメガロウイルス ― 手足口病誤り。サイトメガロウイルスは新生児や免疫抑制患者に疾患を引き起こしますが、手足口病ではありません。

デングウイルス ― 肺炎誤り。デングウイルスはデング熱や出血熱を引き起こしますが、肺炎は一般的ではありません。

ヒトパルボウイルス ― 伝染性紅斑正しい。ヒトパルボウイルスは伝染性紅斑(リンゴ病)を引き起こします。

ヒトRSウイルス ― 脳炎誤り。ヒトRSウイルスは脳炎ではなく、主に呼吸器感染症を引き起こします。

コクサッキーウイルス手足口病ヘルパンギーナサイトメガロウイルスは巨細胞封入体症、デングウイルスはデング熱、ヒトRSウイルスは風邪の原因ウイルスです。

主な疾患とその原因ウイルスは、また個別に投稿しようと思います。


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